「おぼえてる?」と彼女が言う。
「おそらく」私は答えた。
「まあ、そうよね? 忘れてても仕方ないわよね」と彼女が言う、「でもさ。なんのこと? くらい聞けないの?」
「なんのこと?」
「なんのことかわからないのに覚えているも忘れているも、な」彼女は話しながら立ちあがった。
「んのことだと思ったのよ」すると短いスカートふわり揺れた。
「今度の制服いいね」と私は言う。
「うん、かわいいでしょ」
「うん。かわいい」
「それだけ?」
「いや、他にも」と私は答えながら戸惑った「ある、よ?」
蒼い夜空になると、星座が浮かびあがる。
夏の空に、「あれ知ってる。ええと」と彼女が指摘する。
私は図鑑を調べながら「こと座かな?」
「そうそう、こと座。明るいよね」と彼女が言う。
しばらく眺めていた。
「性果樹の話、聞いた?」と彼女に訊かれたとき、
「いや。まだ。なに?」
「どうやら実装されるみたいよ?」
「そうなんだ?」てっきり世界樹のことかと思ったが違うらしい。